JOURNAL ASIA

日本の高レベル放射性廃棄物のゆくえを追う

科学的特性マップに対する立石教授の評価@「2017ほろのべ 核のゴミを考える全国交流会」講演会

立石教授


2017.07.29
「ほろのべ 核のゴミを考える全国交流会」講演会に参加した。

 

「核のゴミ地層処分〜安心・安全な「適地」あるの?」

講師:立石雅昭 新潟大学名誉教授(地質学)


内容:

1.       フィンランド オンカロ最終処分場

2.       核のゴミ 高レベル放射性廃棄物 地層処分の概要

3.       深地層研究センター

4.       核のゴミ「科学的特性マップ」

5.       学術会議提言

6.       まとめに変えて

 

この中で取り上げられた「科学的特性マップ」について、立石教授は「私はこれを見て全く科学的ではないと思った。」と話した。

 

その理由が主に次の3点だ:
(立石教授の発言及びそれに基づきまとめた


 

理由①
 

海岸部を全国一律に緑色(好ましい)としてしまっている

 

(解説)

海岸というのは数十メートルの高い崖が繋がっている景勝地もある。私の所でいれば、佐渡や能登など日本海側の海岸には、崖がかなり多い。一方で砂浜だけの比較的沖合まで浅い海岸もある。

 

沿岸というのは、そうした特徴があるにも関わらず、物資を運べる港湾設備、沖合の深さ、崖の高さ等総合的に検討せずに海岸部を全国一律に「輸送面でも好ましい」としているのは、塗り絵みたいなものだ。そこには“科学”はない。


理由②

断層というものの表現がまったくできていない。

 

(解説)
活断層から数km離れても、直下型地震が襲ったり、ズレが生じたりする可能性を否定できない。


断層というものは、多くの場合(東北日本の場合は特に)、傾斜しており、真っすぐ地下に断層が走っているということは、東北日本の場合少ない。

 

断層のズレ
経産省エネルギー庁ウェブサイトより)


左右に矢印があり、これらが断層から1km離れて起こる場合もある。マップに記された平面図でいくと、“この矢印の範囲は大丈夫だ”という図になる。この断層に沿って傾斜している部分も含めて、本来全部ダメ、としなければならないのに、引いてあるオレンジの線は、地表に表れている部分だけを線で引っ張っているだけ。むしろ、こうした表面に活断層として表れていない地下の傾斜している部分で地震が起きて、直下型地震を起こすことも考えられる。しかし、そういうことが全く考慮されずに、このマップは、平面図で地表に表れているところしか捉えていない。(例:サロベツ断層帯は、地表に表れていないから線すら引いていない。)信じられない図だ。

 

また、一般的に日本における地震活動を予測する上で、「地震調査推進本部」(文科省)が出しているマップがあり、断層を示している。これは、地表にキレイな痕跡が出ている断層ではないが、最近の地殻変動に伴い、かなり近い所がかなり傾いていることにより、地下に断層があると推定をしている。それを地震調査推進本部は、大きな地震を引き起こす可能性があり得る地下の断層として、示されている。

 

その他にも、同本部が示した、断層面が沈み込んでいて、これが活動したらどれ位の揺れになるかが示された図もある。

 

(例:サロベツ断層)

http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f099_sarobetsu.htm

 

サロベツ断層のように長い間地震を起こしていない断層を有する地域を指す「地震空白域」の断層が地震を起こる確率も場合によっては示されている。

 

(例:サロベツ断層)

http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f099_sarobetsu.htm#choukihyouka

 

こういうことが既に発表されているのに、そういったものを活かせているのか。活かし切れていない。現代の科学技術は不充分だと思うが、それすらちゃんと活かしていないのが今回の特性マップだと言わざるを得ない。本当に科学的検討を加えた上で、特性マップを示したとはとても言えないと思っている。

 

理由③ 

火山活動の歴史を踏まえていない。

 (解説)
太平洋プレートが北アメリカ大陸の下に潜り込んだ太平洋プレートのすぐの場所ではマグマはできない。少し深いところに沈み込んで初めて、岩石が溶融してそしてマグマになって火山になる。従ってプレートの沈み込んだ内陸側の方に火山ができるという「火山前線(フロント)」と言う。

 

その火山前線よりも内陸側では、徐々に場所を変えながら火山活動してきた歴史がある。そういう歴史を見た時に、現在火山がない場所でも、次ここではもう噴火しないという保証はあるのか。

少なくとも長期間安全に保管しなければならないという地層処分において、例えば100万年ということを考えた時に、火山前線よりも内陸側は全部不可、とするのが、現代の火山学に関する知識からくる当然の帰結だ。そうしたことから、今ある火山から15キロ範囲で済ますのは、私から言わせると“科学ではない”と言わざるを得ない。

 

最後に


この間、何を議論してきたのか、よく分からない。海岸線の話といい、断層の話といい火山といい、今回示されたのは、私の問題意識からすると、相当お粗末な特性マップであるし、それでは、国民の理解は得られないだろう。

 

国の言う「処分場建設の第一歩として、皆さんの理解を得た上で次を進めていきます」というレベルに達していないと言わざるを得ないなと私は思う。

以上

 

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参照:

ライブ動画のアーカイブは、
A SEED JAPAN企画「核ゴミプロセスをフェアに!」アカウントにて公開されています。

 

▼前半▼

https://ja-jp.facebook.com/kakugomi/videos/1754806338150220/?hc_ref=ARREauue2CGrP0Ac5IzKtI_SCEKfD8peUjOwHQoRKWD1TPXyijsrlMC5EMCYMPsjP_k

 

▼後半▼

https://ja-jp.facebook.com/kakugomi/videos/1754832171480970/?hc_ref=ARRd-eBHeBbaQCWBsM6XBkruADG5I_HQbieaZqZ9EygYVq45R5ULc871YJWL39VSsY4

 

 


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