JOURNAL ASIA

日本の高レベル放射性廃棄物のゆくえを追う

第42回廃棄物安全小委員会

先日、経産省で42回小委が開催され、傍聴したので、簡単にまとめたい。

議題は以下の通り:

・クリアランス制度の施行状況の検討について

・ウラン取扱施設におけるクリアランス制度の整備について

・先月行われたIAEA第5回アジア原子力安全ネットワーク/放射性廃棄物管理トピカルグループ年次会合、及び廃棄物等安全条約ワークショップの報告

・NUMOから「地層処分事業の安全確保2010」(いわゆる「2010年レポート」)について、NUMO技術部長から説明

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<memo>

☆クリアランス制度とは?

→原子力施設の運転及び廃止措置の実施に伴って発生する資材等に含まれる放射性物質の放射能濃度が、放射線防護上特段の考慮をする必要がないレベル(クリアランスレベル)を用いて「放射性物質として扱う必要のない物」判別する制度のこと。

*運用にあたっては、
「放射能濃度の測定及び評価の方法の認可について(内規)」平成18年1月30日付け
 原子力安全・保安院文書(=「保安院内規文書」)に従って、二段階の規制を適用。
 (この一連の手続きを「クリアランス検認」という。)

⇒1.事業者自身で判断する前に放射能濃度の測定及び評価の方法について
  予め国の認可が必要
 2.事業者は判断結果についても、国に対し確認の申請をし、国はその放射能濃度が
  基準を満たしているか等を確認した上で、確認証を交付する。

☆経緯:

H15-16 制度の法制化に向け検討
     @経産省 総合資源エネルギー調査会
      原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会(=「小委」)

H16.09. 「原子力施設におけるクリアランス制度の整備について
     (=「クリアランス報告書」)を取りまとめる。
     (同年12月 一部改訂)

       ↓これを受け

H17.05 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
     (=「炉規法」)改正
          &
      クリアランス制度導入

H17.11.  「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第六十一条の
       二第四項に規定する製錬事業者等における工場等において用いた資材
       その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に
       関する規則」(=「クリアランス省令」) 制定
      
       *クリアランス省令:原子炉施設を対象とした具体的なクリアランス
                 レベルや技術基準を規定したもの

H17.12. クリアランス省令 施行

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【今回の会合における論点1】

☆制度の検討&措置

平成17年の改正法は、法施行後、5年を経過した場合において、その施行状況について
検討を行うこととされており、本年(平成22年)12月で改正法施行から5年経つため、
クリアランス制度の施行状況を踏まえ、必要な措置について検討する必要がある。

cf.
―(原子炉等規制法の一部を改正する法律(平成17年法律第44号)附則(抄)) ―
(検討)
第九条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認められるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
-----

【改訂内容】
原子力施設に用いられた金属、コンクリート等であって放射能濃度が十分低いことを
主務大臣が確認したものについては通常の廃棄物と同等の処分又は再生利用を可能
とする制度(=「クリアランス制度」)を導入。

【関係条文】
法第61条の2
○(独)日本原子力研究開発機構 旧JRR-3
・クリアランス確認対象物: コンクリート破片約377トン
(全体で約4,000トン存在し、全12回の1回目)
【第1回確認までの経緯】
・平成19年11月8日 放射能濃度の測定及び評価の方法の認可申請
・平成20年5月22日 放射能濃度の測定及び評価の方法の認可申請 一部補正
・平成20年7月25日 放射能濃度の測定及び評価の方法の認可
・平成22年1月12日 放射能濃度についての確認の申請
・平成22年5月14日 放射能濃度についての確認証の交付
※ 現在、ウラン使用施設で用いられた金属に対するクリアランス制度の導入に向け検討中。
(省令改正を行う予定。)

☆方針

小委において、クリアランス制度の適用を受けた原子炉設置者等(上記参照)から
ヒアリングを含め、制度の施行状況を12月に検討、来年1月~2月にかけ課題抽出を
行う(予定)。

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【今回の会合における論点(2)とポイント】

★ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルについて:

*検討対象とした施設及び対象物

・検討対象とした施設:炉規法に基づき現在事業許可を受けている5つの事業者が
           燃料加工を実施している6つの加工施設
        (=独立行政法人日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター、
          株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、
          三菱原子燃料株式会社、
          原子燃料工業株式会社熊取事業所及び東海事業所、
          日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所)
  ※今後設置されるMOX燃料を製造する加工施設は、「ウランクリアランス報告書」
   に、対象物におけるプルトニウムの影響が検討されていないため、除外。
   (cf. 施設のしゅん工予定時期/計画:平成28年3月)
          
・対象物:ウラン取扱施設から発生する資材等のうち「金属」
    →根拠:
     10万トン発生見込み(平成62年度迄)で、この廃棄物等の約90%が
     遠心分離機などの加工施設で使用された設備機器としての金属であること。
     また、日本での金属系廃棄物等のリサイクル率は約97%(環境省統計)が
     再利用され、スラグ(金属スクラップを溶融した際に発生する)も約90%
     再利用されている実績。さらに、スクラップ中のウランはスラグへほぼ移行
     するものとしている。

*技術基準:既存の基準類は、原子炉設置者を対象とした規定のため、加工事業者を
      対象とした制度整備のためには、これらの基準類に必要な事項を追加、
      または、新たな基準として定める必要がある。
      課題を検討、方向性をとりまとめた。

     ⇒1.放射能濃度の評価単位
      ・当分の間、原則1トン上限(保安院内規文書適応)
      <追記案>ただし、測定単位(1回の測定で取扱うことができる重量又は
          面積)については、事業者が放射能濃度測定に用いる放射線測定
          装置の種類等により適切な単位を決定することが望ましい。

      ・原子炉施設において放射性核種濃度の分布の均一性が高い場合のほか、
       平均放射能濃度が十分低いレベルの場合、評価単位を最大10トンまで
       拡張できる。(保安院内規文書適応)
      <追記案>最大濃度、最小濃度の比較から評価単位を10トンに拡張する
          場合には、その放射性核種濃度の分布の均一性が高く、汚染防止
          等が実施されていた場合などを条件に、対象物において汚染レベ
          ルが極端に低い部分を除いて判断することも可能とする。

      ・「放射能濃度の分布の均一性」に関する保安院内規文書における留意点
       の適応が適当。

     ⇒2.放射能濃度の決定方法
      ・事業者が適切な方法を策定、国はその妥当性を判断し認可(クリアラン
       ス省令適応)
      <追記案>国は、その妥当性を省令の認可基準及び保安院内規文書で定め
          る留意事項に照らして確認することが適当。
      ・「放射能濃度を決定する方法」内の対象物の汚染が表面汚染のみの場合
       の取扱(保安院内規文書適応)

     ⇒3.放射線測定装置の種類及び測定条件
      ・留意事項(保安院内規文書適応)
      <追記案>α線の放射線測定を行う場合は、α線の飛程が短いために対象
          物の形状や表面状態等の考慮が必要であり、またγ(ガンマ)線の
          放射線測定装置の精度や所定の検出限界値の確保等に測定を要
するといったことに考慮が必要。

     ⇒4.放射能濃度確認対象物の管理方法
      ・留意事項(保安院内規文書-以下参照-適応)
       

      ・小型の対象物については、搬出までの間、容器等に収納する場合は、当
       該容器等に封入し、施設内のあらかじめ定められた放射性物質による追
       加的な汚染のない場所で保管することとしていることを確認すること。
       また、容器等に収納しない場合は、放射性物質による追加的な汚染のな
       い保管場所に保管し、当該保管場所の出入口を施錠することとしている
       ことを確認すること。

      ・大型の対象物であって開口部のあるものについては、搬出までの間、当
       該対象物の開口部を密閉して保管することとしていることを確認するこ
       と。さらに、当該対象物を放射性物質による追加的な汚染のない保管場
       所に保管し、当該保管場所の出入口を施錠することとしていることを確
       認すること。
           (保安院内規文書/5.放射能濃度確認規則第6条第5号関係より)



      ・記録・保存を含めた事業者の品質保証活動のあり方における留意事項
      (保安院内規文書適応)

*その他の検討:

 ・クリアランス検認について:
  原子炉施設同様、加工施設においても、事業者が検認を通過させるために、本制度
  による「国による測定・判断方法につき事前に認可された方法」以外の方法で対象
  物の放射性核種濃度を意図的にクリアランスレベル以下に希釈させることがないよ
  、国は十分に留意する必要がある。

 cf. IAEA/ RS-G-1.7

  Deliberate dilution of material, as opposed to the dilution that takes place
  in normal operations when radioactivity is not a consideration, to meet the
  values of activity concentration given in Section 4 should not be permitted
  without the prior approval of the regulatory body.



 ・加工施設の管理区域から物品などの搬出における規制について:
  クリアランスに係る放射能濃度の基準を満足したものであっても、炉規法に基づ
  き、物品の表面の放射性物質の密度に関する制限があるため、この規制を遵守す
  る必要がある。


(参考資料)
*「ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルについて」(H21.10. 原子力安全委員会取りまとめ)
(=「ウランクリアランス報告書」)
 <point>
  ・クリアランス対象物:ウラン取扱施設から発生する資材等のうち「金属」 
  ・評価対象核種及びクリアランスレベル(放射能濃度の基準値)を設定

*「ウラン取扱施設におけるクリアランス制度の整備について」(H22.06.)
(ウランクリアランス検討ワーキンググループ→小委へ報告。
小委は報告内容を審議、とりまとめた)

*「放射能濃度の測定及び評価の方法の認可について(内規)」(H18.01.30.)


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