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日本の高レベル放射性廃棄物のゆくえを追う

【インタビュー】某大手航空会社 元機長

【経緯】



現在、東京地裁で、横須賀基地上空を飛ぶ民間機に関する訴訟が係争中。



そこで繰り広げられる裁判は、謎が多い。

国の準備書面を誰が書いているかは明らかにされていないが、どうもウソっぽいのが素人からでも分かる。ただ、原告は原告で主張をするし、国は相変わらず適当な発言を続ける。どちらも好きに主張するが、第三者であるわたしとしては、果たして何が正当なのか知りたい。しかし、航空に関する基礎知識なんて無いため、何が正しいか判断しようもない。

そこで、訴訟に間接的に関わる3機関に、実際航空の現場ではどうなのか探るべく、取材申請をしかけたが、その前に基本知識をもう少し詰めたいので、元関係者にインタビューをさせて頂いた。

インタビュー報告の前に2点明記し、報告することにする。       





【1】訴訟に関して:




概要



 現在、横須賀米軍基地上空を民間航空機が実際に飛行している。事実、羽田空港から関西方面(伊丹空港、神戸空港、関西空港)へ飛行する航空機の主な離陸ルートになっており、羽田空港から関西方面への1日の飛行回数は、ANA24便、JAL24便の合計48便(添付資料)にのぼっており、そのたびに横須賀米軍基地の上空を毎日飛行している。

 この件に関して現在同ルートにおける飛行を制限するようすること、国交省はその飛行計画に対し承認を与えないように求める裁判が、横須賀市民により国を相手取り起きている。

 更に、現在上空を飛行されている横須賀米軍基地は、原子力空母が入港し、本格的に横須賀港は原子力空母の母港となる。


同訴訟における、国(国土交通省)の主張


・ そもそも原告(横須賀市民)がこの羽田空港の民間航空機の飛行制限を求める権限がない。

・ 米軍原子力艦船は原子力施設ではない。

・ 船は常時存在する構造物ではない

・ 航空法97条1項は専ら所管行政官庁の航空交通管制業務その他の業務を円滑、迅速に行うという目的で設けられたものであって、各航空機が航行する航路周辺の住民等個々人が該当航空機の墜落事故等によって生命・身体等を侵害されないという個別具体的な利益を保護することを目的としたものではない。





【2】いけないと分かっていながらも持っていた先入観



・パイロットの人はきっと市民側の主張を理解してくれると思っていた。

・パイロットの人も、原子力空母がある基地の上空なんて飛ぶのは嫌だと思っていた。

・“市民の訴えは間違っていない”というある種思い込み





【インタビュー】某大手航空会社 元機長

(飛行機自体の安全を担当されていた某大手航空会社の元機長に伺いました。)


Q 「航空」において、下にあるもの、建築物、人々に対する安全の確保を前提にしているものなのか?


元機長:

 真下にいる人の安全以前に、自分たちが安全に飛ぶ事がとりもなおさず地上の人たちの安全につながるというのがセンス。

 民間機が公の施設に墜落したというケースは今のところないんですね。


Q 現在基地上空を民間機が飛んでいることに対し訴えている。それは不適切か?


元機長:

 というより、非常に確率の低いことを今回訴えられている杞憂されている、という印象を受ける。

 低空飛行している場合であれば、制限するのにそのルートや場所が重要になる。しかし、横須賀の場合、最低飛ぶとしても1万フィート(3000メートル)。こういった高度から堕ちる時、翼が安全である限り、そのルートの真下に堕ちるということはない。富士山の裾のように、どうにでも遠くへ避けることが出来る。飛行機は高いところを飛んでいる。

 だから例えば、ルートの真下に原発があろうが、原子力空母がそこにいようが、そこに狙ってでもミサイルのようにピンポイントで命中させるというのは、民間の飛行機の性能として機能としてあり得ない。狙っても出来ないものを、その上を飛んでいるからといって“危ない”と云われるのは非常に心外。“心外”というか、変な言い方だが、実際飛んでいる側としては、横須賀の人たちがもしその心配をなさっているのなら、中国の“杞”の人たちと同じ心配、憂い(「中国古代の杞の人が空が落ちてきはしないかと心配した」という話)をしているという印象を受ける。


Q 仰る通り、電話でですが、現役のパイロットの方に伺ったところ「高度をとってるから。」「下の事(下に何があるか)は考えた事がない。下に何かあるとしても高度をとってるんで。」って。


元機長:

 高度をとっているということは落下時、遠くへ行くということで、真下に何か物を落とすということは物凄く至難の技。それ位のイメージなんですね。


Q ルートずらすと別の混雑を生むから大変?

元機長:

 というか、もう現実にこの上を飛ぶことは少なくなっている。飛行機だって横須賀の上にいちいちこないで、目的地にしている関西の方へ行っちゃった方が(直線ルート/最短ルートで行った方が)早い。今はそれが出来るようになった。

 建前のルートを通ることが非常に少なくなっている。通ったとしても、原子力空母の真上を通る確率は非常に少ない。ただ、この逆円錐形にしたりして、この範囲は入らないようにしてくれ、ということは出来るかもしれないですけど、現状としては心配なすってること自体ことが、まず起きないことを心配している、という印象。

 業界では「航空情報」というのがあって、要するに注意事項が必ず出る。その中に原子力空母の情報でもあれば、(民間機は計器飛行なので)ルート的に避けることは可能です。


Q 避ける事が出来るということですが、ルートを国交省が承認の時に、もともとずらした設定で承認するということですか?

元機長:

 “その上を飛ばないようにしましょう”というコンセンサスを作って管制官との間にそれが徹底していれば、管制官は出来るだけそこを避けて飛ばすという運用は出来ると思うんですよね。

Q そんなに簡単なことじゃないですか?

元機長:

 運用自体としてはもう一度決めたことをズラすこと自体が嫌なんだろうと思うんです、国交省としては。お役人ですから。そんなんでいちいち毎回変えられたら大変だということなんでしょうね。

 よっぽどヘリが飛ぶ位の低い高度を民間機が飛んでいるんであれば、いつ堕ちるか分からないから大変です。しかし、高い高度の場合、そこから遠く迄飛行機というのは行ける訳だから、そこで民間機が原子力空母にあたるあたらないとなると、我々のセンスからすると、現実問題としてあり得ないような自体を想定して、それを論点にしているというという風な印象ですよね。


Q 変な話、羽田空港の周辺は石油コンビナート一帯があるんですけど、そっちを懸念した方がいいということ?議論の対象、論点として成立するのはそういうこと?

 そうです。そこがあるために、そこは完全に(横風があるときに使う滑走路は離陸に)禁止してます。それはコンビナートの上空を飛ぶ高度がぐんと低くなるからなんです。だから横須賀の話は高度があるから、全然議論の対象にならない。

 あと、パイロット自身自分の命惜しいでしょ。(もしエンジンの故障でもあったら)絶対にそこへは行かない。必ず避けます。


Q だからパイロットの方に怖くないのかって聞きたかったんです。

(パイロットさんや管制官の方は)原告の味方だと思ってたんですが、そうじゃなく「高度とってますから」という立場だったんで。

元機長:

 あー原子力空母にもいるにも関わらず、怖くないのかって?

 そうですね、現実問題としては川崎のコンビナートとは全く別の反応すると思うんです。つまり高度が高いということは、仮に真上を通るとしても真下が危険になる確率は非常に低いです。

Q っていうことを自分自身が分かっているから、怖くない?あり得ない?

元機長:

意識も留めてない。

Q “民間機墜落の前例がない”というのは説得力があっても、市民はそれでは納得しないと思うんですが、××さんご自身は安全性を主張するとき何を強調しますか?

元機長:

 だから、僕らは大きな例が日本にないがために、世界中の事故を調べて、どういう危険性が秘めているのか熟知しようとしたんです。パイロットだってみんな死にたくないんです。だから必死になって安全を守るんです。一生懸命なんです。ですから我々は特に慣れのないように、“飛行機は危険なものである”と思い込ませてきたから、だから危険じゃなかった。

Q パイロットの方からしたら「高度をとっている」ということと、「(ルートは真上でなく)ずれている」というので、安全性の説明は充分という感じ?

元機長:

そうですね。狙ったってあたんないものを、仮にあったとしてもそこに堕ちる確率は凄く小さい。普通の状態ではあり得ないことを訴訟に結びつけてらっしゃるのかなっていうか老婆心というような気持ちはありますね。

Q 原子力発電所にしろ空母にしろ、真上を飛んでることに対しての怖さとかっていうのは、そもそも下に何があるか特に知らないわけぢゃないんでしょうけど

元機長:

 知らない訳じゃないけれども、そこをあまり強調はされてはいない。新潟の柏崎、福井に沢山あるが、あの上を飛行機が高度が高いだけに、何の規制もなく飛んでいます。ですが、地元の人たちはあれがここにくる、堕ちて来るとそこまでは結びつけられなかったです。思わない。ですから横須賀で、安全じゃない、危険だと結びつけるのはちょっと無理感があるかな、という気はするんですけどね。

(※低い高度は勿論制限している。)



【感想】  率直に。

インタビューの頭から彼のする発言の仕方で、予想していたような流れにならないことをだいたい察したため、早々に気持ちを物凄い切り替えた。と同時になんかあたし多分欲しいコメントを求めに来てた・・?とか自問。全部が終わって、欲しいコメントを求めに行くような真似はしないことだと痛感した。当たり前だ。

別に原告に有利になるようなコメントを求めに行ったわけではないし、各方面のプロフェッショナルの見解を得ることが目的だったんだ。

ほんと率直な感想っていうだけだから、横須賀市民を侮辱つもりは更々ないが、「訴え」って、本当に所詮「杞憂」でしかないのかな。もしかしたら杞憂することを意図的にやめないのかもしれない。

確かに専門知識がないと、逆に色々危惧してしまうが、一般市民は専門知識がなくて当たり前のはず。杞憂しても無理はないと思う。ただ、その道のプロと、市民の意見交換が著しく欠けているがゆえに、お互いを理解出来ないでいるというのが現状だろうか。

また、もし「落ちる可能性が極めて稀」と主張し、それが正確だと確信しているのならば、この方に頂いた高度の話や、墜落の仕方のように国も説明、主張し明らかにすれば済むのに、なぜそうはせずに、相手を欺くような主張をし、不信感をあえて煽るのか。疑問だ。

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